好きになった彼は幽霊でした。
「あのさ、この前言った事…考えてくれた?」
この前っていうのは、たぶんきっと朝の教室での話の事だと思う。
その後も毎日図書室には通っているし、私が不意に思い出すのはやっぱり優馬君だった。
龍平君は確かにいい人だけど、まだ私に優馬君を忘れる事なんて出来ない。
「あ、えっと…あの…ごめんなさいっ…!私の心の中には…大切な人がいるんです。まだ忘れたくないんです。だから、ごめんなさい…。」
龍平君は一瞬切なそうな表情をしたけど、すぐに笑顔を向けてくれた。
「そっか…!詳しくは聞かないけど、まだって事は、いつかがあるって事だよな?俺、絶対諦めないから。」
「えっ…?」
「だから今は友達として仲良くして欲しい。もっと色んな話、雪姫ちゃんとしたいからさ。」
「あ…はい。」
「よかった!これからもよろしくね、雪姫ちゃん。」
「よろしくお願いします…!」
それから私は龍平君と別れて、その足で図書室に向かう。