好きになった彼は幽霊でした。
キーンコーンと予鈴が鳴って授業が始まる。
さっきの騒ぎが嘘だったみたいに、先生の声と黒板に書くチョークの音だけが響く静かな教室。
いけない、授業に集中しなきゃっ…!
今月の終わりには中間テストがある。
あんまり頭のいい方ではない私はちゃんと勉強しないとすぐに順位を落としてしまう。
だから、そんな私がこの高校の倍率で受かったなんて奇跡に近い。
なるべく優馬君の事は考えないようにして、先生の声に耳を傾け、黒板の文字をノートに書き写す。
しばらくすると、またチャイムが鳴って授業が終わる。これが何度か繰り返されてお昼休みになる。
私は購買のパンを買って、いつもの中庭に向かう。
この学校はカフェやその周辺で食べる人が多いから、少し外れたこの噴水がある場所には、ほとんど人は来ない。
ベンチに座ると、買ったばかりのサンドイッチの袋を開けて食べる。
私のお気に入りはレタスとハムとチーズがはさまったシンプルなサンドイッチとたまごのサンドイッチ。
他にも色んなのがあるけど、私はこの組み合わせが一番好き。