好きになった彼は幽霊でした。

私はとぼとぼと図書館を出ると、早々に教室へ戻った。


午後の授業はいつも通りに淡々と進んでいき、放課後になった。


私はカバンに教科書やらを入れて図書室に向かう。


図書室に着くと本棚から気になった本を手に取った。椅子に座ると本を読み始める。


徐々に周りの音は聞こえなくなり、物語の中に入っていく。


それから数時間が経ち、すっかり日は落ちていた。時計の短い針は6時過ぎを指している。
既に周りには誰も居なり、私1人が残っていた。


そろそろ夕食の時間だし、一旦帰ろうと思ったその時、いきなり横の窓に影が現れた。


反射的に横を向いた私は、それと目を合わす事になってしまった。


「━━━━っ…!」


ぎょろりとした目は片方がぶら下がり、額から血が流れている。その酷い姿に思わず手で口元を押さえる。


そして、ポケットに入ってるお守りを握り締めると、しゃがみ込んで固く目を瞑る。


お守り持ってれば大丈夫…。
しばらくすれば、いつも通り過ぎてくれる。
大丈夫…きっと大丈夫っ……!

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