好きになった彼は幽霊でした。
俺の事見えてるの?
午後10時12分。
私はうっかり返し忘れてしまった本を2階にある図書室に返しに行こうと、階段を登っていた。
今私がいる此処は月白高等学校の女子寮。
男子寮と女子寮の間に立派な図書館が建っている。
1階はカフェ、2階は色んなジャンルの本がある図書室、3階は勉強も出来る資料室。
2階の図書室は渡り廊下で寮と繋がっている。
そんな図書館があることで有名な月白高等学校は寮があることもあり、全国でも人気の高い高等学校。
当然倍率は半端なく高かったが、なんとか入学出来た。
私が惹かれたのは寮生に与えられる特権。
それは午後6時で図書館が閉まっても、寮生のみ図書室が午後8時まで利用可能ということ。
読書が好きな私にはうってつけの特権だ。
それからこれは入学してから知った話。
鍵は寮の責任者に預けられてたけど、8時以降に本の返却をしたいって生徒が結構いるから、先生には内緒で開放しっぱなしになっているらしい。
つまり、いつでも入り放題ということになる。