好きになった彼は幽霊でした。
私は夏菜ちゃんに行ってきますと言うと、スマホのライトで照らしながら、図書室へ向かった。
ドアを開けて図書室に入ると、優馬君は空を見上げていた。そんな彼に近付いて呼び掛ける。
「優馬君…?遅くなってごめんなさい。」
私の声に気が付くと彼はこっちを向いて微笑んでくれた。
「よかった、ちゃんと来てくれたんだね。」
「ごめんなさい。友達に古典教えてたら、こんな時間になっちゃってて…。」
「謝らないでいいよ。雪姫ちゃんはちゃんと来てくれたんだから。」
そう言うと優馬君は頭を撫でてくれた。
なんだかすごく安心する。前にも覚えがあるような感覚と温もり。もっとして欲しいと思ってしまう。
「なに、もっと撫でて欲しいの?」
彼は笑ってまた私の頭を撫でる。
彼の言った事があまりにも本当の事で私は驚いた。
もしかして気持ち読まれた…!?