好きになった彼は幽霊でした。

「未練…か。あるにはあるよ。」


「え、そうなの?それってどんな…。」


「雪姫ちゃんは金環日食って知ってる?」


「えっと…確か、太陽に月が重なって、リング状に見えるんだよね?でも、あまり詳しく知らないかな。」


「正確に言うと、地球、月、太陽が、ほぼ一直線に並ぶ時に太陽が月に隠されるんだ。その時に太陽が月より大きく見えるから、太陽が完全に隠れず、月の外周にリング状に見える現象の事なんだよ。」


少し難しい話だったけど何となく分かった。
優馬君の話は更に続く。


「珍しいこの現象が最後に観測されたのは、2012年5月21日。僕が生まれて数ヶ月後だった。そして、次の観測予測日は、2030年6月1日━━つまり、来月なんだ。」


「優馬君はそれを見たいの?」


「そう。俺、空とか星とか好きだから、絶対見ようって思ってた。だけど、事故に合って見れなくなったんだよね。でも、どうしても見たいんだ。」


さっきも、最初会った時も、空見てたもんね。
本当に好きなんだなぁ、そういうの。

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