好きになった彼は幽霊でした。
渡り廊下を渡って鍵が開けっ放しのドアを開ける。
外の見廻りの人に見つからないように電気は付けられないので、持ってきたスマホのライトの明かりで返却ボックスを探す。
しかし、ライトの明かりは先に違うものを照らした。
誰もいないと思っていた図書室には、窓際の椅子に座って空を眺めている1人の男子生徒がいた。
彼は凄く驚いた表情でこちらを見て言った。
「あれ…君、俺の事見えてるの?」
「え……?」
「あー…俺、普通の人間には見えないんだ。」
「え…じゃ、じゃあ……」
「そう、死んでるんだよ、俺。幽霊ってやつ。」
幼い頃から霊感が強い私は、普通の人には見えない幽霊という存在が見えてしまう。
普段から多々あるため、彼に幽霊だと名乗られても、さほど驚きはしなかった。
「っていうか、君もここで密会する人?」
密会…?この人は何の事を言ってるのだろう、そう疑問に思った。