好きになった彼は幽霊でした。
昨日の今日だから優馬君に会うのが少し気まずい。優馬君に会いたい、その思いだけが私を動かしていた。
図書室のドアを開けると、窓の所にはいつも通りテーブルに座っている優馬君がいた。優馬君の姿を見ただけでどきん、と胸が高鳴る私は重症だ。
空を見ている優馬君は私に気付かない。
「ゆ、優馬君…。」
声をかけると、びっくりした表情で私を見た。
「…あ、ああ…ごめん。来てくれるとは思ってなかったから、びっくりしたよ。そんな所に立ってないで、ここおいで?」
私は黙ったまま優馬君の近くに近寄る。
近くに行くと私の姿が月明かりに照らされる。
「あれ?今日の髪型いつもと違うね。自分でやったの?」
「ううん…同室の子がやってくれたの。」
「そうなんだ。可愛いよ。でも、いつもの方が雪姫ちゃんらしくて俺好み。それに可愛過ぎて変な虫がついたら困るしね。」
そんな事を言われて顔が熱くなる。
それを知ってか知らずか、優馬君は話を移した。
「それより雪姫ちゃん、何持って来たの?」
優馬君のその問で、自分が持って来たものを思い出した。