好きになった彼は幽霊でした。
ねぇ、キスしてもいい?

午前10時。
今は2時限目の古典の授業中。


あれから4日…図書室には行っていない。
気付けば5月も今日で終わろうとしていた。


優馬君の事がずっと頭に浮かんで、好きな古典も頭に入ってこない。


はぁ……。
私は心の中で溜息をつく。


明日は6月1日。金環日食の観測予定日。
クラスでもその話題でもちきりだ。


優馬君のために協力すると約束して、明日はその約束を果たせる日。


けれど明日が来てしまったら、優馬君はいなくなってしまう。


もう会えなくなる。
泣いても笑っても明日が最後の日。
逃げて来て勝手かもしれないけど…会いたい。
そう思ってしまう。


その日の夜、図書室に行こうかと思ったけど、どうしても一歩踏み出す事が出来ずに行かれなかった。


次の日。
朝起きて、決まったように学校に行く。
決まったように授業を受けて、変わらない生活を送る。


優馬君と出会う前までの日々と変わらない。
憂鬱でつまらなくて淡々と過ごす日々。
そんな毎日を変えてくれたのは優馬君だった。

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