好きになった彼は幽霊でした。

え…幽霊ってこんなに冷たいの?
手だけじゃなくて体も氷のように冷たい…。


さっきまでドキドキしていた感情も徐々に落ち着いていく。


そして私の思考を停止させたのは第三者の声。


「たぁくん〜♡会いたかったぁ〜♡」


「俺も会いたかったよ♡」


突然聞こえてきたピンクの声にビックリする。
本棚からそーっと顔を少し出して暗がりの中を見ると、抱き合っている2人のシルエットが見えた。


なっ…なんなのこれー!夜の図書室で密会!?
あっ!この人が言ってた密会ってこのこと!?


「びっくりした?ここ、男子寮と女子寮の真ん中にあるでしょ?それに夜も鍵かけてないから、カップルが密会に使ってるんだよ。」


彼がヒソヒソ声で話しかけてくる。


「知らなかったです…。」


暗くて表情や姿は見えないけど、カップルのイチャつく声は静かな室内に密やかに響きわたっている。


私には刺激が強すぎて再び顔が熱くなる。それにこんな会話を男子と聞くなんて気まず過ぎる。

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