好きになった彼は幽霊でした。
「雪姫ちゃーん?聞いてる?」
いつの間にか龍平君の顔が近くにあって、びっくりした私は立ち上がると身を崩して倒れそうになる。
「きゃっ!」
けれど、私が倒れる事はなくて。
「っと…あっぶねぇ…。雪姫ちゃん、大丈夫?」
私は龍平君に腕を引っ張られ、抱き留められていた。
「だっ…大丈夫ですっ…!!」
「そう?よかった!」
すぐに離してくれたけど、びっくりした。
優馬君意外と一瞬でもこんなに密着したことなかったから…。でも、なんか…嫌だと思った。
まさか見られてないよね…?
私が図書室の窓に目を向けると、そこには優馬君が見えた。私と目が合うと優馬君は消えてしまった。
うそ…今の見られてたの…!?
胸がどくん、と嫌な音をたてて嫌な汗が流れる。
キーンコーン。予鈴が鳴る。
「やべ!もう昼終わりぢゃん!」
「雪姫ちゃん、早く戻ろっ!」
「あ、う、うん…!」
今すぐ優馬君の所に行きたいけど、授業があるから、そういうわけにはいかない。
きっとさっきの見られてたし…優馬君に嫌われたら、どうしよう…。
私の不安はマックスに達していた。