好きになった彼は幽霊でした。
午後の授業も終わり、私は急いで寮の部屋に帰ってカバンを置くと、図書室に向かった。
不安な気持ちが私の歩幅を速める。
図書室に行くと静かな空間に複数の本をめくる音がする。静かにしながらも、私は優馬君を探して図書室の中を見て回った。
もしかしたら、いなくなっちゃったのかと思うと、気持ちが焦る。
一通り見て回ったけど、優馬君はいなかった。
どうしよう…いない…。
やだ…。
「行かないで……。」
私は下を向き、消えそうなくらい小さな声で呟く。
視界が滲み、今にも涙が溢れそうになる。
その時、私は腕を引っ張られ、本棚の影に引き込まれた。
「っ……!」
「━━━…雪姫ちゃん…。」
私の名を呼ぶその声は、出逢った時と変わらない、優しい彼のものだった。
「優馬君っ……!」
「ごめん、このままでいさせて…。」
「うん…。」