好きになった彼は幽霊でした。
でも、悪霊になる訳にはいかない。
もしなってしまったら、きっともう、雪姫ちゃんに会えなくなってしまうから。
でも、このままだと俺は、きっと何回も嫉妬をして、どんどん悪霊化してしまうだろう。
だから、このままでいることは出来ない。
何も考えないようにしないと…。
そして俺は前みたいに心を無にして、ひたすら空を見始めた。
それから何時間経ったんだろう。
気が付けば、空は夕焼けになっていた。
図書室には数人の生徒が本を読んだりしている。
そんな全ての生徒に嫉妬してしまいそうで、俺は本棚の影に移動した。
ぼーっとしていると、微かに俺の名前を呼ぶ雪姫ちゃんの声がした気がして、本棚の影から室内を見渡す。
そして歩き回って俺を探してる君を見つけた。
こっちに歩いてくる雪姫ちゃんは悲しそうな苦しそうな表情をしていた。
君との距離が近くなると、反射的に隠れる。
「行かないで……。」
君が呟いた。
それは、消え入りそうで、弱々しくて。
どうしようもなく、抱き締めたくなる。
本当なら、そんなことしない方がいいのに。
君から離れるべきなのに。
俺は雪姫ちゃんの腕を引っ張り、君の名前を呼んで、抱き締めていた。