好きになった彼は幽霊でした。

「━━━…雪姫ちゃん…。」


君が俺の名前を呼ぶ声は、驚きと切なさと嬉しさが含まれていた。
俺の目から涙が溢れそうになる。


「ごめん、このままでいさせて…。」


俺がそう言うと、


「うん…。」


君はそう答えた。


しばらくしてから君を離すと、君はこちらを振り向く。


そして俺は性懲りもなく、また君に問う。


「今日も…また来てくれる?」


「うん、優馬君に逢いたいもん。」


俺の問いに、そう答えた君。


それ、可愛すぎだから。


だから、からかいたくなっちゃうんだよ。
だから、好きになっちゃうんだよ。
だから、離れたくなくなるんだよ。


時計を見ると、もうすぐ午後7時になる所だった。


「もう夕飯の時間じゃない?」


ここにいたいという表情をする君。
俺は君の肩に手を置き、くるりと回転させる。


そして俺は、君が振り向く前に姿を消した。
君が図書室を出て行くと、俺はまた窓越しに空を見上げる。


「…もう限界かも。」


気持ちを伝えないまま隣にいるのは辛すぎる。
俺の想いを君にちゃんと伝えなきゃならない。


そろそろ俺は、君との物語を終わりの道へと進めないといけない━━━……。

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