好きになった彼は幽霊でした。

「柊木さんはどう思う?」


「えっ…あ…ごめんなさい…私、用事があるので…戻ります…!」


「あ、もう時間だもんねぇ〜。こっちはいいから行っておいで〜!」


「ありがとう、夏菜ちゃんっ…!」


私は夏菜ちゃんにお礼を言うと、逃げるように足早にその場を離れる。


「え、この後何かあんの?」


「あんた達には関係ないの〜!あ、ついでに言っとくけど、雪姫ちゃん好きな人いるから無理だよ?」


「えぇ、まじで!?」


後ろで夏菜ちゃん達の会話が微かに聞こえる。
私は返却コーナーに食器を返すと図書室に向かった。


ドアを開けていつも優馬君がいる窓際を見る。


「え…優馬君…?」


そこにいるはずの優馬君がいなかった。


「優馬君…?いないの…?」


呼び掛けても返事もなければ気配もない。


「うそ…だよね…?」


静まり返る室内に私だけの声が響く。


「待ってるって言ったのにっ……。」


私の頬には涙が伝い、床に座り込む。


「やだ…行かないでっ…。」


俯いて泣いていると後ろから声がして、振り返ると優馬君が立っていた。

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