好きになった彼は幽霊でした。
私達は噴水前まで来るとベンチに座る。
チラッと図書室の窓を見ると優馬君の姿が見えて私は笑顔を向けた。
それに気付いてくれた優馬君は手を振ってくれた。
それから夏菜ちゃんと話をしながら、楽しい時間が過ぎていき、気が付けば予鈴が鳴った。
「やばっ!次体育だった!早く戻らなきゃ〜!」
慌てる夏菜ちゃんは勢い良く立ち上がる。
私も立ち上がると、図書室の窓にいる優馬君に小さく手を振ると、先に歩いている夏菜ちゃんの後を追った。
教室に戻るとすぐにチャイムが鳴って授業が始まる。退屈な午後の授業が終わると、空は赤く染まっていた。
私は寮に帰ると、宿題やらを終わらせると、少し早めに夕食を食べる。
そして夜8時過ぎ。
私は急ぐ心を抑えつつ、階段を登り、渡り廊下を歩く。図書室のドアを開けると、優馬君がいつもの机の上に座って空を眺めている。
「あ、やっと来た。」
優馬君がこっちに近づいて、私の心がドキンとする。
「…ごめんね、待った?」
私が上を向くと、ふわりと優馬君に抱き締められる。
「早く会いたかったんだ、雪姫ちゃんに。」
「優馬君…。」