好きになった彼は幽霊でした。
よくよく見ると優馬君って、結構端整な顔立ちをしてるよね。
メープル色の髪の毛の隙間から、チラリと見える瞳が優しくて、私は思わずドキッとなってしまう。
不意打ちの笑った顔、ずるい…。
「っていうか、もう12時だけど、部屋に戻んなくていいの?」
「え!?私、戻らなきゃっ…!」
手に持っていた本を返却ボックスに入れて、ドアの方に向かおうとすると、急に後ろから抱き締められた。
「きゃっ…!」
抱き締められた事にも驚いたけど、体の冷たさにも驚いた。やっぱり優馬君の体は氷のように冷たい。
けれど抱き締められた私の体は体温を上げていく。
「……明日も来てくれるよね?」
「えっ…!えっと…はい。」
「よかった。じゃあ明日また、この場所で待ってるから。」
「はい…。」
私か返事をすると、やっと体を離してくれた。
「じゃあ、戻ります…!」
「うん、じゃあ、またね〜。」
優馬君に手を振って見送られて、スマホの明かりを頼りに寮の部屋へと戻った。
同室の子を起こさないように、抜き足差し足でベッドに入って眠りについた。