好きになった彼は幽霊でした。
「うん、それはね、好きな子に想いを伝える事なんだ。前に伝えたつもりだったんだけど、聞いてなかったみたいだから。」
その子も幽霊の優馬君が見えるって事は、私みたいに霊感が強い事になるよね。
それに一度は会ってるんだ…。
そういう子がいるなら、私なんかと一緒にいてくれるのはなんで?
分からない…優馬君の気持ちが分からない。
そう思ったら急に胸がずきん、と痛くなった。
「ずるい…優馬君はずるいよ…。」
「え、なに?どういう意味…?」
苦しくて、苦しくて、言葉に出来なくて。
私の堪えていた涙は頬を伝い、下をむいて黙り込む。
「雪姫ちゃん、前にも泣いてたよね?…今も。なんで泣いてるの?」
胸が苦しくて言葉に詰まる。
「ねぇ、俺が悪いなら謝りたいから…俺に訳を話してくれない?」
優しく響く優馬君の声に少し気持ちが落ち着いて、私は自分の思いを伝えた。
「私っ…優馬君の事が…好きになっちゃったの…。」
「え…雪姫ちゃん、俺の事好きなの…?」
私はしゃくり上げながら思いを言葉にする。
「う、んっ…。だから…優馬君の好きな人が他に居るって聞いて…悲しくて…でもっ…優馬君は優しくてっ…ますます好きになっちゃってっ…。」