好きになった彼は幽霊でした。

「それ、間違ってるよ。俺と雪姫ちゃんが最初に出逢ったのは、君が小2の時だし、君を好きになったのもその時。」


「え…それって……。」


「吉野神社って覚えてる?俺、そこの息子。」


私が小2の時、声をかけて助けてくれて、今も持ってるお守りをくれたお兄ちゃん。
家の近くにあった神社の……。


「えっ、あの神社のお兄ちゃん!?あ、でも、苗字が違うけど…。」


「吉野はおじいちゃんの苗字。」


え、うそ、全然分からなかった!
あ、だから、優馬君に抱き締めてもらったりした時に懐かしく思ったんだ…!


ってことは……。


「私の勘違い……?」


「あはは、そうみたいだね。」


「そうだったんだ……。」


私が優馬君を想うように、優馬君も私を想ってくれてたんだ…。


「好きだよ、雪姫…。」


初めて呼び捨てで呼ばれた。
私は自然と優馬君の胸に飛び込んでいて。
そんな私を優馬君は優しく抱き留めてくれて。

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