好きになった彼は幽霊でした。
「私も優馬君が好きだよ…。」
「ねぇ、一度くらい優馬って呼んでくれない?」
「優馬…が、好き…。」
「ありがとう…。」
目の前に見えている優馬君の体は透けていく。
「優馬君っ…体がっ…!?」
「あはは、呼び方戻ってる。まぁ、いいか。…もう未練はなくなったからね。」
「やだっ…!行かないで…私のそばにいてっ…!」
私は泣きながら優馬君にしがみつく。
「ごめんね…それは無理なんだ…。」
せっかく優馬君と想いあえたのに。
もっと一緒にいたいのに。
もっともっと、好きって伝えたいのに。
言葉にならない私をよそに、優馬君の体はゆっくりと薄くなり、背景が透けて見えてくる。
「泣かないで、雪姫ちゃん。確かに死んだのは悔しいし、本当はもっと君と生きたかったよ。生きてるうちに君に思いを伝えたかったし、君をそばで守ってあげたかった…。」