好きになった彼は幽霊でした。
生きていた証 side優馬
午後3時過ぎ。
相変わらずぼーっと空を眺めている俺は、過去の事を思い出していた。
物心ついた時には、既にこの世のものではない幽霊という存在が見えていたが、特に不思議に思う事もなかった。
というのも、俺の父さんの家系は、代々神社の神主をしていて“見える”人が少なくなかったから。
それが普通の事じゃないと理解し始めたのは小学校になってからだ。
「ねぇ、君も一緒に遊ぼうよ。」
「優馬君、誰に話し掛けてるの?」
「え……?」
皆で遊んでいる時に、迂闊にもそこに居るはずもない子に話し掛けてしまってから気味悪がられてしまった。
幸いその後すぐに、家の都合で吉野神社があるこの町に引っ越してきた。
それからは幽霊の存在が見えつつも、人に言う事はなかった。
そんなある日の帰り道、近道の公園を歩いてる時に、女の子の泣き声が聞こえたんだ。
近くにいかにも悪霊みたいな女の人がいて、もしかしたらと思って遊具の中を覗いてみた。