姿の見えない君と恋をしよう
話が全く分からず、何時間と説明されてようやく分かった事がある。

彼女は、異常なほど説明が下手くそだ。

言っていることが、まるで意味が分からない。

僕の理解力の問題だろうか。

それでも、彼女は説明力を学ぶべきだろう。

熱い部屋の中で、彼女もずっと耐えていたのだろう。

ついに彼女は立ち上がり、エアコンのリモコンを掴むと、勢いよくエアコンの方に向き直し、冷房のボタンを押した。

そんなに熱いのだろうか?

そう思うくらい、彼女はリモコンを手放そうとはしなかった。

別に、消すつもりないし!

と思うが、それでも彼女は離そうとしない。

これがリモコンなどではなく、ぬいぐるみであれば、可愛かったのだろう。

リモコンって…

鋭い目を僕の方へ向けるのもやめてほしい。

あの目は、人を殺せる目だ。

僕は死んでしまうのだろうか。

ああ、15年の人生か…

とか変なこと思うから、やめろ!

そんな殺されそうな空間の中で、僕は彼女の説明を一生懸命聞くことになった。

文字通り一生をかけて、懸命に。
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