姿の見えない君と恋をしよう
姉は午後から忙しく準備をし、出ていった。

なんでも、彼氏とデートとか…

いいですね、リア充様は。

呑気で、することがたくさんあって。

そんな皮肉は、余計に寂しく感じるので、止めておこう。

母はすることがないのか、面白くなさそうにテレビを見ている。

よりにもよって、お笑い番組を。

「はぁー、このコンビは駄目やね。

なーんも面白うない。」

そんな愚痴をこぼしている。

よりにもよって、今大ブレイク中の芸人さんに向かって。

母は基本、笑いの点がズレているのだ。

なのにお笑い番組を見ようとする。

見ても全然笑わないくせに、どうしてハマったんだか。

父はそんな母の愚痴を、うんうんと聞いている。

父はお笑いに、元々興味がない。

母が見るので、少しは見るようになったが、今でも興味はないようだ。

僕は番組を見ながら、残りの時間、何をするか考えていた。

今は午後2時。何をするか微妙な時間だ。

家に居てもすることがないので、仕方なく家を出た。

行きたい場所も、することも決まっていないが、とりあえず歩いていた。

暑い日差しが、容赦なく僕に降り注いだ。

暑い。夏は嫌いだ。

理由は分からないが、何故か夏は嫌いだった。
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