姿の見えない君と恋をしよう
結局僕は、近くの図書館で暇を潰した。

図書館の中は、涼しくて快適だったが、図書館の静かな雰囲気は嫌いだった。

静かにしなければならない場所。

そんな場所は、自分から行った試しがない。

1時間と図書館の雰囲気に耐えられず、僕は外に出た。

それからずっと歩き続け、汗だくになって、家に帰ることになった。

母に酷く怒られ、お風呂へ直行するよう命じられた。

僕自身も早くお風呂に入りたかったので、それはそれで嬉しかった。

お風呂に入り終わった後、僕は髪を乾かしながら、リビングへと向かった。

丁度その時、姉が帰ってきた。

「ただいま〜。」

なんともダルそうなただいまだった。

こんなただいまにも、ちゃんとした意味があるなんて、姉は知らないんだろうな。

とか、そんなどうでもいいことを考えていた。

「あれ?華音。帰ってきたの?早かったわね。」

母が声が奥から聞こえてきた。

相変わらず、よく声が出るな。

「それがさぁ、みんな用事で早めに帰っちゃったんだ。」

姉も母に聴こえるように大声で言う。

近くで聞いている僕としては、たまったもんじゃない。

この位の距離なら、歩いて話せばいいのに。

と僕は思う。口には絶対出さない。

高校生で死ぬなんて、嫌だ。

せめて、20代になって死にたい。

そんな馬鹿げたことを思いながら、僕は部屋に入った。
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