時を超えて君想ふ
不意に出てきた感情に動きが出遅れた

チカは近藤さんの手を払い、
座ったままだったのにもかかわらず、
素早い動きで近藤さんを蹴り飛ばした

「てめえ!よくも近藤さんをっ!」

総司がチカに向かって、刀を振ろうとした。

「待てっっ!!!」

近藤さんの鋭い声

総司はチカの頭の上、
ギリギリのところで刀を止めた

「どうしてですかぃ?近藤さん
この野郎近藤さんに 「チカちゃんごめんね

キミが男がキライって知らなくて、
勝手に触れてごめんね

俺たちはキミに触れないよ

大丈夫」

近藤さんは倒れたままの状態で
真っ直ぐチカを見る

チカの表情は何もない


でも、チカの瞳が、
手が、
身体が小刻みに震えていた紅い唇が動く


『…男はボクに触れない?
ボクに近づかない?ほんと?』

まるで小さな子どもみたいだった

「うん、ごめんね、チカちゃん」

チカへの小さな違和感の正体

「チカ"ちゃん"?近藤さん、コイツ…」

一目見たときから感じていた、
腑に落ちないカケラ

「チカちゃんは女の子だよ」

それが繋がった気が気がした

チクリ、何か胸に刺さった
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