時を超えて君想ふ
「俺は信じん。」

『ボクには奥の手もありますよ?』

こう頑なに言われるとイラッとするし、
何より土方をギャフンと言わせたい

「ほーォ、それがどォした?
俺はもうおめェの作り話には飽きた。」

『そんなこと言わないで下さい、豊玉さん。』

「……」

『"梅の花 一輪咲いても 梅は梅"
でしたっけ?』

ニヤリ
口角が上がるボクに対し、固まる土方

「……」

『"しれば迷い しなければ迷わぬ 恋の道"』

「これってトシが隠れて詠んでいた俳句?」

「っっっ!?!?」

「アッハハハ!!チカさん、最高です!」

『ボクの時代では
これらが本の表紙に写されたり、
お土産のようなものになって
売買されているんです』

追い討ちをかける!

「ほぉ!それはそれは…!
土方さんは隠れて詠んでたんですよ?

それがチカさんの時代では世の中に
知れ渡っているということなのですね

まぁ、ここでも知れ渡っているんですけどね?

でも、そのことを土方さんは知らないんですよ

ね、面白いでしょう?」

『面白いですね!もしかして…?』

「もっちろんですよ
こんな面白いことは他の人にも教えないといけないですからね!」

チカと沖田は顔を見合わせ、意地悪く笑い合う

『赤いお顔の豊玉さん!どうします?』

「大丈夫だぞ、トシ!
俺はトシの俳句好きだぞ!
真っ直ぐで!」

「……(グサッ)」

『近藤さんは大変その… 「悪意のない言葉を素直に言っちゃうんですよね」』

胸に手を当て、倒れこむ土方
心配そうにオロオロする近藤さん
笑みを隠そうともしない総司

楽しいな
そう思った
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