時を超えて君想ふ
『土方』

「なんだァ?」

『土方』

「だから、なんだ?」

『土方』

「だァーっ!
しつけェ!
なんなんだよ!」

チカに背を向け、
机に向かい書きものをしていた土方は
グルリと動き、身体ごとチカに向き合う

チカは正座をし、自分の方を向いていた
黒目がちの瞳になぜか、どきりとする土方

『お風呂入りたいです』

「たったそンだけで呼んだのか?」

『嫌がらせも含む!』

「ってめェ」

『ボクは胸がなくて、
男の子みたいな容姿ですが
女子ですから
1人で男湯って言うのはちょっと…』

伏せ目がちにいうチカは
土方の言葉を遮るように言う

「…(根に持ってるな)」

わざわざ胸が〜というのが
食事前の会話を根の持っている証拠だ

だが、風呂はどうしようか……

ココは女人禁制の男だらけの場所
もちろん、風呂には男しか利用しない
そんなところに女であるチカがいたら、
とても危険である


最近は衆道というもンがあるらしいからなァ

チカは容姿が整っていて、
たまにみせる表情や仕草は色っぽい

つまり、狙われそうなのだ

隊員にはチカのことを
近藤さんの知り合いの子どもで、
俺の小姓として働く、と言ってある

そう言ってあるだけで、
チカの立場は上がるからある程度は安心だ

それに近藤さんや俺にケンカを売るような
命知らずはココにはいないはずだ
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