時を超えて君想ふ
近藤とチカの話し声、
時折笑い声が風呂から聞こえる

それを背後でききながら、
喫煙具を吸っている土方に問う

「ねえ、土方さん
チカさんのことどう思いますか?」

吸っていた喫煙具を口から離し、
遠くを見つめていた瞳を僕によこした

「総司はなんて答えてほしい」

質問したのにまさかそう応えられると
思わなかったから、言葉がつまる

「……僕は、土方さんの意見がききたいです」

「そーか」

そう言って、再び喫煙具を吸う

「チカさんが来てから、土方さんは変です
僕は 「大丈夫だ」」

「……」

「ココを、近藤さんが俺らに
与えてくれた居場所を、壊したりはしない

チカの話は信じるが、
俺はチカを信じたわけじゃない

だから、大丈夫だ」

わしゃわしゃと頭を撫でられる

「…触んねーで下さい」

その手を払おうと手を伸ばす

けど、

「チカは何かある
何か抱えこんでる
それがココに吉と出るか凶と出るかは
分かンねェ

でもな、総司
ココはそういう奴らの集まりだろう
俺もお前も

優しくて、世話焼きな近藤さんは
疑うことを知らねェ

だからこそ、ココを守るのは俺たちだ

そンで、俺の仕事は疑うことだ
お前の仕事じゃねェ
お前はいつも通りしていればいい
分かったな?」

ぐしゃぐしゃ
僕の頭を撫でる
土方さんの固くて、無骨な手
けれど、あたたかい
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