時を超えて君想ふ
みんなが戻り、屋敷はいつもの喧騒が
戻ってきた


『土方あああ』

土方の部屋で、
チカは万年床に寝っ転がりながら、
書き物をしている土方に声をかけるが

「…」

土方は無視を決め込んでいた

『ひぃじぃかぁたぁー』

「…(イラっ)」

『豊玉さぁん(笑)』

「ンだよ?ア?」

『暇だから呼んだだけ!』

「ア?俺忙しいンだけど?」

『知ってるー(笑)
でも、やることないんだもん!』

「これやってみっか?」

やれやれ仕方ない、という動作で
チカに書き物を勧める

『草書…?さっぱり分からん』

むくり、と起き上がり土方の隣に
腰を下ろしたチカが土方が見せた書き物
に対して首を捻る

「チカ、読み書きできねぇのか…?」

まさか!と馬鹿にしたようにいう土方

『できるし!!貸して!』

怒るチカ
何も書かれていない紙と筆を土方から
ひったくるように取り、文字を書く

「ははは!!
なんだこりゃあ!変テコだなァ!」

それを見た土方が笑い出した

チカの名誉のために言っておくと
チカは字が綺麗である
しかし、それは現代であって、江戸時代の
主流であるくずし字ではない
よって、江戸時代に生きる土方にとって
チカが書いた文字は違和感の残る変な文字と
なるのである


『はああ!!土方のくせに!』

にらむチカ

「ア?」

それに応戦する土方

『あ?』

どちらも譲る気はなく拮抗している!


「喧嘩はあかんでー?
悪い子どーこやー!」



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