時を超えて君想ふ
みんなが戻り、屋敷はいつもの喧騒が
戻ってきた



『あれ、持ち物が減ってる…?』

スカっ

『え゛掴めない!?』

半透明…?なんで??

まさか!と思い土方の部屋にあるチカの空間(チカがタイムスリップした時に身につけていた物をしまってある戸棚)から財布にしまっていた家族写真を取り出す

消えかかってる…

自分の手も心なしか薄いような…?

『土方あああ!!!どーしよう!土方!
手が手が!』

ドタドタと走り素振りしていた土方の腕を引っ張り土方の部屋へ共に入る

見て!!と強く主張するように土方のかの前に両手を見せつけた

「…確かに薄い気ィすんなァ」

バゴン!!

チカが土方をビンタする。もちろん首を傾げながら真剣に見てくる至近距離の土方に胸の奥がざわついたからではない。

「っつう!なにしやがる!」

『あ、叩けるんだー
通り抜けなくてよかったー』

「叩く必要はあったのかよ。
現実かどうか確認するときにほっぺ引っ張るとかでいいだろォうよ。
素振りしてた時にがっつり腕掴んでたじゃねェか」

「あ確かに。まあ確かめるには土方叩くしかないって思ったんだよね!」

「……。」

『んー考えてもわっかんねェなァ。様子みるか』

数日後。

「透けてんな」

半透明人間チカである。こんな状態じゃあどこにも行けない
土方の部屋から出れず過ごす

『このまま消えちゃうのかな』
ぽつり、書物を読む土方にもたれかかるチカ

『もしかしてボクがいると歴史が変わっちゃうから

ボクはこの時代にいない人間だし

あ、だから大阪乱闘事件が起きなかったのかな

土方ー
ボク消えちゃうのかなー』

「ア?」

『お父さんとお母さんに会えるかも
だったら、消えるのもいーかな

ボク、両親いないんだよー

いなく、なっちゃったの

ボクのせい

天罰かもね…』
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