想いをのせて
慶介くんは昔待ってくれていた場所と同じところに立っていた。
あの頃よりも確実に大人の男性になっていたけれど、すぐにわかった。
うつむきがちに立っていた慶介くんが顔を上げた瞬間、目が合う。
「よっ」
彼もすぐに私だってわかってくれた。
クシャッと笑って右手を軽く上げる。
笑い方はあの頃のまま。
胸が震える。
涙で視界がぼやける。
ゆっくりと彼に近づいた。
「チャイさんですか?」
「青空さんですか?」
お互いの声が重なった。
お互いにあえてそちらの名前を聞こうとした気持ちも一緒。
顔を見合わせて笑った。