大人になるって。
――――嘘。
好きって思うのが、関係が壊れちゃうのが怖いだけ。
「ひさしぶり」
子供の頃から変わらないくしゃっと笑う優しい笑顔。
私はこれが大好き。かわいいなって、大の男に言う言葉でもないんだけど。
「久々。相変わらずイケメンだねぇ。はいこれ、この前誕生日だったでしょ?口に合うか分からないけど、甘いもの好きだから。」
重くないように、単なる女友達があげても気軽に受けとれて、すぐに無くなっちゃうもの。値段も安すぎず高過ぎず、、、、こんな気遣いしてる時点で絶対に普通の男友達として見てないんだよなぁ。私が。
でも、好きって認めるのが怖い。今のままでも充分満足だから。
あぁ―――――
また、嘘。
満足何てしてない。
貴方にくっついて体温を感じて、抱き締めて貰いたくて
そう、貴方の愛を欲している。
二人で映画に行って、おいしいもの食べてお酒を飲む。細やかな幸せを失うのが怖くて、気づかないふりをしてるだけ。失うことが怖いから。しってる。臆病なんだ、私。
少し遅めの誕生祝いのスイーツをキラキラした目で眺めてる。本当に変わらない。
「え、いいの?うわ、ありがとう」
「うん、大したもんじゃないけど、おいしいと思う!食べて食べてー」
慎重が高めの私が十センチヒールを履いても更に見上げる高身長に爽やかに整った顔、おまけに優しい雰囲気でモテない訳がないだろう。唯一の救いが彼が超草食系ってところか。
私はさ、君にいつ彼女が出来るかって割りといつでも不安なんだぞ。優しいから、彼女が出来たら彼女のために女の私とは会ってくれない。そんな優しいところがとても好きだけど、その優しさは私に向けられたものじゃない。彼女が出来た報告で私が枕を濡らしてるって知らないでしょう?いや、知られても困るけど。
でも、もし。
もし、知ったらどうする?
貴方への私の好意。
二人で会ってくれるのは、少しは期待してもいいって事?
ずっと、十年以上友達でいたからもう分からない。やっぱり気を使わない友達だから二人で会ってくれるの?
貴方の顔を見て、こんな事ばかり考えてるなんて、、、、本当に知られないようにしなければ。