意地悪な両思い
プロローグ
「じゃぁやっと付き合うことになったんだー!
よかったじゃん!
おめでとう、みのり!」
「ありがとう。」
電話口の向こう。
私のことのように喜んでくれている、電話相手の友達の遥にお礼を告げる。
そう言ってもなお、
キャーキャー彼女は一人でに騒いでいるから、おおげさだよと私は諫めた。
「だってようやく素直になれたんでしょ?
速水さん相手にさ。」
「うん、まぁそうだけど…。」
「付き合うまでにかかった時間とか、やり取りとか聞いてる私からしたら奇跡みたいなもんだからね。」
「まぁ……ね。」
速水さんの、彼女なんだもんなぁ。
そう返事しながら、自然とチェスト上に置いている卓上カレンダーに目線がいった。
会社の給湯室で、彼に好きだと白状してから約一週間。
あの速水さんと付き合うことになったなんて、今でも不思議な感じ。
ある日突然給湯室で告白されて、
それから関わるようになって。
―――だけど最初は、社内で人気の速水さんがなんで私のこと!?ってひどく戸惑ったんだよね。
告白されるまであんまり話したこともなかったしさ。
告白されてからも、なにかと速水さんからかってきてばっかだったから、告白は間違いだったんじゃないかって思ったこともある。
でもみんなで飲んだり、ふたりだけで飲んだり、彼の家に泊まったりして(これは今思えばすごいこと!)
速水さんが私のことを大切に思ってくれてるって分かったから、
私もどんどんどんどん、どんどんどんどん惹かれていって―――…
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