意地悪な両思い

「うん。ガールズトーク?
品川さんすごい聞き上手で。」


「あー、うんうん。
そりゃいんだけど。

ん?


品川さんに俺のこと言ったの?」

「あ、ううん!」
 慌ててぶるぶると私は首を振る。


「速水さんの名前は出してなくて、
会社外の人みたいな口ぶりで、伏せてて。」


「へーえ。」
 そこで感心したように声をあげる速水さん。

「すごいじゃん。
そんな器用なことできて。」


「……気合いで誤魔化したんですよ。」

「え?どういうこと?」

「最近良いことあったんでしょ、顔が浮かれてるよ?
って気づかれちゃったのが、品川さんと話すそもそもの始まりだったんで。」

「あぁ!そういうことね!」
 納得とばかりに、市田らしいと一気にそこで笑い声をあげた。


「そんな笑わなくても。」

「ごめんごめん。」
 彼の右腕をぽかっと殴ると、彼がしてるのと同じように私もシンクに背を預ける。

「それで続きは?」

「えっと、最近忙しくて話せてないんだって相談したら…」
 本当言っても大丈夫なのかな?


「お家行ったら?って言ってくれて。」
ええい、もうどうにでもなれ!


「で、背を押してもらったというか……うん。」
 そんな感じなのです、うん。

「そっか。で、家来たんだ。」
 ポンと彼は私の頭を撫でた。


「まぁ他にも理由はあるんだけど、」
 速水さんの態度がおかしいから、

嫌に思ってることとか、
話したがらなくたって絶対追及してやろうと思って来たんだけど。


「うん。」

「でも正直ね……」
 これ言ったら、速水さん怒るかもだなぁ…。


ちらりと顔をあげて恐る恐る目を合わせる。

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