意地悪な両思い
ほどなくして立ち上がると、キッチン台に二つ缶を持ってった。
同時に軽く流水で手を冷やして頬に甲を当てる。
まだどくどくしてる心臓。
キスだけでこんないっぱいいっぱいなのに。
何気なく見てしまう寝室に、益々鼓動は鎮まるどころか高鳴っていく。
「ふはぁ。」
こぼれる正体不明の一息。
私……大丈夫?こんなんで本当にもつかな。
途中で恥ずかしさのあまり破裂しちゃうんじゃないだろうか。
さっきしたことよりもっともっと、もっともっとすごい、
淫らなことをしちゃうっていうのにさ。
そんなことを考えているタイミングで、
「え、なに!?」
ガタっと大きな音がお風呂場から。
結構響いたから下の部屋の人も驚いてるはず。
速水さん、大丈夫だよね?
何か物を落としちゃっただけ…だよね?
一応お風呂場に聞き耳を立ててみたが、
変わらぬ雰囲気に声をかけることまではしなかった。
まぁおかげでやらしい想像はどっかに消えていってくれたけど。
テレビの前にまた私は移動し、ぼーっとただ眺める。
嬉しいことに速水さんは長風呂派みたいで、笑っているうちにすっかり気分は落ち着けた。
とそこで番組が終わり、ニュースが始まったので気分転換もかねて番組を変えてみる。
1チャンネルから8チャンネルまで、
さすがにこの時間じゃ教育テレビもニュース。
「なんかドラマしてたっけな。」
コメディ系の面白い感じが見たい気分だけど。
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