涙が降る音がしたんだ。
第一章
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ガタガタと車が乱雑な斜面を行く音がする。
荷台の大きな荷物たちが擦れあう音が、耳に鳴り響いていく。
後ろの席に乗って、寝転がっていると頭がボーっとしてきて、どこか危うげ。今どこだろうか、そんな呑気なことを考える。
顔を上げ、きちんと座りなおすと窓にはぼさぼさになった短いショートカットの髪が写る。
その髪を適当に直しつつ、大きな欠伸をする。
「もうお昼だ…」
その呟きは、両親に聞こえていたようでコンビニで買ったであろうおにぎりを渡される。
フィルムを剥がして、ごみ袋に入れる。大きな口を開けて食べると、口に広がるのはマヨネーズとツナの味。
特に好きなわけでもないが、お母さんが勝手に買ったんだろうと推測はできる。
おにぎりを頬張りながら窓の外の景色を眺める。
この春、私は〝転校〟というものをする。