涙が降る音がしたんだ。
そんなこんなで引っ越してきたこの土地は、両親もえらく気に入った。勿論、私も。
アスファルトの熱なんてなく、土から出る熱気と春を感じる心地よい風と日差しが気持ちがよく、つい転寝をするところであった。
好さげな木陰を見つけて、もたれ掛ければますます寝てしまいそうだった。
ふわあと大きな欠伸をしたら、いよいよ眠くなった。
流れるように目を閉じてしまえば、楽なのでこのまま身を任せていく。
「……おや?誰か寝てる。珍しいこともあるもんだ。」
くすくす笑うその人は、寝ている少女の頬をまるで壊れる物でも触るように、そっと触れる。
「……やっぱりこっちに来たんだな。ふふ、いい夢を。」
〝あーちゃん〟と薄れゆく意識の中で誰かが言った。