涙が降る音がしたんだ。
01
「………あーちゃん、あーちゃん。」
「んっ、なあに?」
これは誰だろうか。今、幼い男の子と女の子が私の目の間にいる。
男の子のほうは、何故か泣きそうな顔をして、目の前にいる女の子の顔を除いている。
一方、女の子は呑気に笑って首を傾げている。
対照的な二人。
なんだか見たことのあるような光景だな、と思わず目を細めてほのぼのした気持ちになった。
「ぼく、しんぱいしたんだよ。あーちゃんのめがとじたままになったんだからあ!」
と幼い呂律を頑張って回す男の子。今にも泣きだしてしまいそうな顔をしている。ぎゅっと幼い手が女の子の手を握る。
そんな男の子を見た女の子は、くすくす楽しそうに笑って握られた手とは、片方の手で男の子の頭を撫でる。
「ごめんねえ、でもしんぱいしないで。ほら、とってもげんきだよ!」
男の子を安心させようとゆったりとした口調で、でもちゃんと男の子の目を見る女の子はどこか見覚えがあった。