村山くんは今日も無気力。
「これ、お礼!!」
成海に押し付けられたのは白い保冷バッグ。
「は?」
「じゃ、遅刻するからまた帰りね!」
成海はそそくさと走っていった。
白い保冷バッグ。その中に入っていたのは黒の弁当箱だった。
お礼、と言われて渡されたけど、俺の弁当はいつも成海が作っている。いつもと変わらないものの何がお礼なんだろう。
「玲央、何やってんの?置いてくよー」
「ああ」
優哉に声をかけられ、俺は教室に向かった。