村山くんは今日も無気力。


あっという間に青団は第4走者の優哉先輩にバトンが渡る。



……青団はぶっちぎり1位で、赤団はビリ。今ならなにもされずに玲央にバトンをつなげられる!



「なるみん!」




「はい!」



優哉先輩からバトンを受け取り、あたしは走り出す。




アンカーの玲央が待つところまでは100m。すぐ後ろにいる黄団にさえ抜かされなければ、勝てる。


……そう確信した瞬間だった。




「バーカ。ガキが調子のんなよ」




後ろから黄団の女の先輩に足を引っかけられた。




「っ!?」




あたしはそのまま前に倒れた。




視界に映るのは10mほど先にいる玲央の驚いている顔と、黄団のアンカーが走り出した光景。




「成海!!」




「成海ちゃん!」




青団の生徒席からはざわつく声が聞こえるけど、あたしはそれどころじゃない。

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