lumière
それから歌月と話していくうちに帰る方向が同じだということで一緒に帰ることになり、昇降口に向かうため廊下に出た。
階段を降りようとした時、ふと下を見ると踊り場で喧嘩が繰り広げられていた。
うむ、1対3とは。なかなか卑怯だな〜。
歌月も思ったらしく、ぼそっとうわっ卑怯と言っていた。
「ねぇ。」
気づいたら声をかけてしまっていた。
やばい、悪いくせが。まあいいか。
私が声をかけてたことに驚いたのかその場にいる全員が私を見てきた。
「あ?……あれ、女の子じゃん!!」
「なになに〜?このガキの知り合い〜?可愛いね〜」
「女の子が俺らに何の用かな?」
3人組がニヤニヤしながら私を見ている。
女ってだけでなめるタイプか。丁度いい。
「邪魔」
ふふふ、言い放ってやったぞ。
すると、3人組が鬼のような形相で睨んできた。が、そんなのは私には効かないんだよね。
「……ぇ、ちょ、咲実!!」
焦りながら歌月が駆け寄ってきたから、大丈夫と言って私は庇うように歌月の前に立った。
「テメェ、舐めてんのか?」
なんて言いながらジリジリと迫ってきた。
その間にリンチ?されていた男の子にアイコンタクトで逃げるように催促し、一瞬戸惑っていたが素直に逃げてくれた。
よし。
「あのさぁ?ここでリンチされたら迷惑なんだけど。わかる?」
そう言ったら気に障ったらしく
「テメェに指図されたくねぇよ!!」
「女はすっこんでろ!!」
と、叫びながら殴りかかってきた。流石に学校で暴れる訳にはいかないから、とりあえず歌月を守れればいいかと思い、拳を受けるために目をつぶった。
「…………?」
……が、拳が飛んでくることは無かった。
なぜなら、目の前に拳を受け止めている手があったから。
「……ぇ?」
あ、変な声出ちゃったわ。
……じゃなくて。誰?
その手の主を見るために横を向いたら―――
「……何してる」
テノールボイスがすっと耳にはいり、一瞬、時が止まった気がした。
だって手の主があまりにも整った綺麗な顔をしていたから……
「……ぁ、あぁ」
襲いかかってきた1人の震えた声で我に返った。
また1人が千葉さん……と顔を青ざめながらすごく震えている。
「……散れ」
助けてくれた?人のその一言で3人組が早足で逃げていった。
「あの、ありがとうございます」
とお礼を言うと
「ああ」
と短い返事をして、スタスタと去っていった。
「千葉さん!!」
と、隣にいた歌月が千葉さんを止めた。
「知り合いなの?」
「うん。」
どうやら知り合いらしく、千葉さんは立ち止まって振り返った。
「……田村か。」
「はい!ありがとうございました!」
「ああ」
「将樹達は一緒じゃないんですか?」
「……あ?あぁ、あいつらなら後ろだ」