エリート御曹司とお見合い恋愛!?
1.告白内容は要確認
「今、なんて言った?」
相手の顔に驚愕の色が浮かんでいる。聞こえないほど小さな声だったのかと思い、言い直そうとするが、口が震えてなかなか声が出せない。
けれど、聞こえなかったのならしょうがない。私は再度彼と目を合わせた。
やや癖のある 黒髪は毛先を遊ばせ流しつつも全然野暮ったくなく、濃紺のピンストライプのスーツとの組合せはまさに“仕事ができる男”というオーラを醸し出してる。いや、実際に彼は非常に仕事ができる人なんだけれど。
さっきから鳴りっぱなしの心臓は、もうどうしようもない。私はぎゅっと唇を噛みしめて、改めて意を決した。
「いえ、あの、だから……よかったらお付き合いしてください!」
今度は聞こえるように、さっきよりもボリュームを上げた、ほんの気持ちだけ。使われることが滅多にない非常階段の入口付近は誰もおらず、声がよく響く。
交際を申し込むなんて生まれて初めてのことで、こんなストレートな言い方しかできない。どんな返事をもらえるだろうか、と緊張していると、
「いや、それは分かったから!」
「え?」
まさかの切り返しに私は目を丸くした。分かっていたのにさらに言い直した自分が恥ずかしくなる。完全に滑ってしまった。
居た堪れなさで、パニックになりそうな私の気持ちなんてかまうことなく、彼はさらに早口で捲し立てる。
「俺が言ってるのは、その前!」
「前?」
おうむ返しに聞き返すと、彼はわざとらしく頭を掻いてから、少し言葉を濁した。
「いや、ほら。なんか、とんでもないこと言わなかった?えーっと“遊びでもいいから?”」
「そんなこと言いませんよ」
躊躇いがちに確認してくる彼に私は眉を寄せて即座に否定する。そんなこと言わない。彼は一瞬だけほっとした顔を見せた。なので、ちゃんと訂正しておかねば。
相手の顔に驚愕の色が浮かんでいる。聞こえないほど小さな声だったのかと思い、言い直そうとするが、口が震えてなかなか声が出せない。
けれど、聞こえなかったのならしょうがない。私は再度彼と目を合わせた。
やや癖のある 黒髪は毛先を遊ばせ流しつつも全然野暮ったくなく、濃紺のピンストライプのスーツとの組合せはまさに“仕事ができる男”というオーラを醸し出してる。いや、実際に彼は非常に仕事ができる人なんだけれど。
さっきから鳴りっぱなしの心臓は、もうどうしようもない。私はぎゅっと唇を噛みしめて、改めて意を決した。
「いえ、あの、だから……よかったらお付き合いしてください!」
今度は聞こえるように、さっきよりもボリュームを上げた、ほんの気持ちだけ。使われることが滅多にない非常階段の入口付近は誰もおらず、声がよく響く。
交際を申し込むなんて生まれて初めてのことで、こんなストレートな言い方しかできない。どんな返事をもらえるだろうか、と緊張していると、
「いや、それは分かったから!」
「え?」
まさかの切り返しに私は目を丸くした。分かっていたのにさらに言い直した自分が恥ずかしくなる。完全に滑ってしまった。
居た堪れなさで、パニックになりそうな私の気持ちなんてかまうことなく、彼はさらに早口で捲し立てる。
「俺が言ってるのは、その前!」
「前?」
おうむ返しに聞き返すと、彼はわざとらしく頭を掻いてから、少し言葉を濁した。
「いや、ほら。なんか、とんでもないこと言わなかった?えーっと“遊びでもいいから?”」
「そんなこと言いませんよ」
躊躇いがちに確認してくる彼に私は眉を寄せて即座に否定する。そんなこと言わない。彼は一瞬だけほっとした顔を見せた。なので、ちゃんと訂正しておかねば。
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