エリート御曹司とお見合い恋愛!?
「とりあえずここは移動しましょうか。改めてゆっくりお話を」
「あ、すみません。ちょっと待っていただけませんか?」
母の提案を遮るように紀元さんが穏やかに告げた。
「どうかされました?」
「美緒さんのお相手として、紀元正一の息子、ということでお話をいただいてたんですが、それは僕じゃないんです」
「え?」
意味が分からずに私は声をあげた。母も同じように意味が分からない、という顔をしている。紀元さんは相変わらず笑顔だ。
「いえね、最初は僕にいただいたお話なんですけど、珍しく、弟がどうしてもって言うので」
「美緒!」
そこで聞き覚えのある声が、私の耳に届く。そんなはずない。私は幻聴を疑った、けれど
「倉木さん」
エントランスの方に顔を向けると、そこには、きっちりとスーツを着こなした倉木さんの姿があった。こちらを確認すると、少しだけ息を吐いてゆっくりと近づいてくる。
その顔色はどう見てもよくないし、どこか辛そうだ。しかし、どうしてここに倉木さんが?
「遅れてすみません。倉木高雅です」
私と母の方に向かって丁寧に頭を下げてくれた倉木さんに対し、紀元さんが口を開いた。。
「ちょっと家庭の事情で、母方の旧姓を名乗っていますが、紀元正一の息子で、俺の弟です。このお見合い、どうしても彼が受けたいって言うので」
そこで倉木さんが隣にいる紀元さんに冷たい視線を送った。そのせいか、紀元さんが視線を逸らして口を閉ざす。
「あ、すみません。ちょっと待っていただけませんか?」
母の提案を遮るように紀元さんが穏やかに告げた。
「どうかされました?」
「美緒さんのお相手として、紀元正一の息子、ということでお話をいただいてたんですが、それは僕じゃないんです」
「え?」
意味が分からずに私は声をあげた。母も同じように意味が分からない、という顔をしている。紀元さんは相変わらず笑顔だ。
「いえね、最初は僕にいただいたお話なんですけど、珍しく、弟がどうしてもって言うので」
「美緒!」
そこで聞き覚えのある声が、私の耳に届く。そんなはずない。私は幻聴を疑った、けれど
「倉木さん」
エントランスの方に顔を向けると、そこには、きっちりとスーツを着こなした倉木さんの姿があった。こちらを確認すると、少しだけ息を吐いてゆっくりと近づいてくる。
その顔色はどう見てもよくないし、どこか辛そうだ。しかし、どうしてここに倉木さんが?
「遅れてすみません。倉木高雅です」
私と母の方に向かって丁寧に頭を下げてくれた倉木さんに対し、紀元さんが口を開いた。。
「ちょっと家庭の事情で、母方の旧姓を名乗っていますが、紀元正一の息子で、俺の弟です。このお見合い、どうしても彼が受けたいって言うので」
そこで倉木さんが隣にいる紀元さんに冷たい視線を送った。そのせいか、紀元さんが視線を逸らして口を閉ざす。