エリート御曹司とお見合い恋愛!?
そして、倉木さんは改めて私の方に視線を向けてくれた。もう訳が分からなくて、目の奥が熱くなってくる。私はじっと見つめ返しながら、色々なものを必死でこらえた。
「では、あとは当人同士にお任せしましょうか。申し訳ないのですが、僕もこのあと仕事があって秘書を待たせているので」
紀元さんが時計を確認して話を進めた。さらには母にまで、行きましょうか、など提案して促すので、すっかり紀元さんのペースだ。
そのとき、母が静かに美緒と私に呼びかけた。母はどこか気まずそうな表情を浮かべている。珍しい、いつも強気な母のこんな顔を見ることは滅多にない。
「私たちは、あなたのことを期待に応えられない娘だなんて思っていないわ。ただ、あなたはのんびりしているから、いつももどかしくて心配だった。親としてあなたには幸せになってほしい、それだけなの。だから、だからあれこれ口出してきた。今回のお見合いもよ。だから」
「お母さん」
母がなにを言いたいのか、なんとなく理解できて、私は泣き出しそうになりながら微笑んだ。
「私、倉木さんとふたりでお話ししたいな。いつも心配かけてごめんね。でも、私は大丈夫だから」
そう告げると、母は目を見開き、改めて倉木さんに向き直ってから、ゆっくりと頭を下げた。その場をあとにする母の背中を見送ってから、私はすぐに倉木さんの手を取る。
「帰りますよ!」
なにか言いたそうな倉木さんは、力強い私の発言に目を白黒させた。
「では、あとは当人同士にお任せしましょうか。申し訳ないのですが、僕もこのあと仕事があって秘書を待たせているので」
紀元さんが時計を確認して話を進めた。さらには母にまで、行きましょうか、など提案して促すので、すっかり紀元さんのペースだ。
そのとき、母が静かに美緒と私に呼びかけた。母はどこか気まずそうな表情を浮かべている。珍しい、いつも強気な母のこんな顔を見ることは滅多にない。
「私たちは、あなたのことを期待に応えられない娘だなんて思っていないわ。ただ、あなたはのんびりしているから、いつももどかしくて心配だった。親としてあなたには幸せになってほしい、それだけなの。だから、だからあれこれ口出してきた。今回のお見合いもよ。だから」
「お母さん」
母がなにを言いたいのか、なんとなく理解できて、私は泣き出しそうになりながら微笑んだ。
「私、倉木さんとふたりでお話ししたいな。いつも心配かけてごめんね。でも、私は大丈夫だから」
そう告げると、母は目を見開き、改めて倉木さんに向き直ってから、ゆっくりと頭を下げた。その場をあとにする母の背中を見送ってから、私はすぐに倉木さんの手を取る。
「帰りますよ!」
なにか言いたそうな倉木さんは、力強い私の発言に目を白黒させた。