エリート御曹司とお見合い恋愛!?
「今までの俺の態度から、いきなり信用してくれっていうのも無理があるかもしれないけど、でも美緒のことは本気なんだ」

 そんな声と表情で言われたら、もうなにも言えなくなってしまう。心乱されない方が無理だ。でも、やっぱり不安がないわけでもなくて。
 
「どうして私なんですか?」

 倉木さんのそばにいるのは、いつも華があって綺麗な人ばかりだ。そんな光景を何度も見てきた。それなのに、

「さぁ?」

 お決まりの質問を投げかけて、倉木さんから返ってきたのはなんとも頼りないものだった。それに面食らっていると、倉木さんがぶっきらぼうに続ける。

「恋愛なんて面倒だし、さらにその先に結婚を考えないといけないと思うと、どうしたって憂鬱で。異性とは適当に楽しい時間を過ごして、寝るだけで十分だって思ってたから」

 なんともあけすけな言い方に、私はつい顔を赤らめて反応してしまった。そんな私を倉木さんは目を細めておかしそうに笑う。その笑顔にやっぱり胸を高鳴らせてしまう自分が悔しい。

「でも、そんな理屈で上手く対処しきれない気持ちになるのは、美緒が初めてなんだ。驚くほど素直で純粋だから、目が離せなくなる。笑ってくれたら、こっちも嬉しくなって。そう思えるのは美緒だけで、他にはいないんだよ」

 たどたどしく言葉を区切りながら伝えられた言葉は、どこか照れも含まれていた。こんな倉木さんを見るのは初めてで、それを倉木さん自身も感じたのか、私からふいっと視線を逸らすと、わざとらしく声をあげた。
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