エリート御曹司とお見合い恋愛!?
「まだ本調子じゃないんだから、ちゃんと休んでください。それを約束してくれるなら、そばにいてあげます」

 胸に顔を埋めたまま、顔を見ずに一息に言い切る。そうすると倉木さんが髪を優しく撫でてくれた。

「いいよ、美緒がそばにいてくれるなら約束する」

「あと泊まっていきますけど、でも、その……」

 顔が見えないとはいえ、さすがに言葉にするのが憚れた。けれど倉木さんは聡い人なので、続きは十分に理解できたようだ。

「大丈夫。キスより先のことはしない、とりあえず今日は」

「その語尾はなんですか!?」

 つい反射的に顔を上げて反論すると、倉木さんが笑いを噛み殺していた。そして、さりげなく唇が重ねられる。

「まぁ、キスはたくさんするけど」

 もう返す言葉が見つからない。私はおとなしく勧められたようにシャワーを借りることにした。綺麗にセットした髪ももったいないけどしょうがない。あとで必要なものは二階のコンビニに買いに行こうと決意する。

「脱がしてあげようか?」

「結構です!」

 もういちいち反応していたら心臓がもたない。けれど踵を返したところで、後ろからいきなり抱きしめられ、私は固まった。

「ごめん、少し妬いてる。他の男と会うために、こんなに可愛い格好して。俺といたときはこんな色、着たことないのに」

「これは、母に指示されて仕方なく。それに私、ピンクより青系の方が好きなんです」

「たしかに、美緒は青が似合うね」

 平然を装って返してみたけれど、耳元にかかる倉木さんの声と吐息に頭がくらくらしてくる。肩に回された腕は、思ったよりも力強くて、体温も高い。
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