エリート御曹司とお見合い恋愛!?
 ようやく寝る段になって、部屋の照明が落とされる。倉木さんはまだ本調子じゃないんだから、ひとりでゆっくり寝た方がいい、なんていう私の提案はあっさり却下された。

 おかげで、せっかくのツインなのに、私は躊躇いつつも同じベッドに入る。ひとつのベッドでも申し分ないほどの広さだった。

 そして固まっている私を倉木さんは優しく抱きしめてくれた。口だけじゃなく、額や頬に始まり、唇以外にも穏やかなキスをされて次第に力が抜けていく。

「美緒」

 そんな中、薄暗くても、倉木さんの表情はしっかりと目に映せた。名前を呼ばれるたびに、心が揺す振られる。

 キスの合間に至近距離で優しく微笑まれると切なさで泣きそうになった。こんな気持ちは初めてで、胸が張り裂けそうになる。

 どれぐらい触れるだけの口づけを繰り返したのか。啄むようなものから息が苦しくなるほど長いものまで、緩急をつけて何度も唇を重ねられた。

 次第に焦らされるような、物足りないような気持ちになって、もっと、と思う自分に戸惑う。そんな気持ちを抱えたまま倉木さんをじっと見つめると、相手はなにかを堪えるような表情を浮かべた。

 そして、強く抱きかかえられて、再び口づけられたかと思うと、そのままの体勢で私はベッドに背中を預けることになった。

 倉木さんが上になって、伝わってくる重みが逆に心地いい。そんなふうにほっとしたのも束の間で、軽く舌で唇をなめとられて私は目を見張った。
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