エリート御曹司とお見合い恋愛!?
「そう言えばさ、桜田さんのお見合い相手ってどんな人?」
私を気遣ってか、気になってか、質問してくれた倉木さんに私は答える。会話というより質問という手段は答えが決まっているので楽だった。
「少しお話ししましたが、父の知り合いの息子さんだそうで、三十二歳という若さで会社を任されているすごい人だそうです」
「俺より年上か、ってそれだけ? 名前とか、どこの会社だとか、相手の写真は見た?」
やや前のめりになって尋ねてくる倉木さんに私は、言葉を濁した。けれど、それで彼には十分に伝わったらしい。
「俺が口出す問題じゃないけどさ、そんなので本当にいいわけ? このご時世にだよ、結婚するかもしれない相手の名前も顔も知らないなんて」
「でも父が、両親が間違いない、と言うので」
言ってから少しだけ後悔した。倉木さんは、そういうのを嫌う人だったのに。おかげですぐに私は言い訳めいたものを口にする。
「うちの両親、母は弁護士で、父が議員をしてるんです。本当にすごい両親で。でも私、なにひとつ両親の期待に応えられずに生きてきました」
ぽつりぽつりと聞かれてもいないのに私は話し始めた。
子どもの頃から、習い事をたくさんさせられ、塾にも通わされた。でも、どれひとつ才能を発揮することもなく、ものになったものもない。
幼稚園、小学校、中学校と有名名門校を受験させられたけれど、どれも合格することができず、その度に見る両親の落胆した顔、失望したという眼差し。それがずっと辛かった。
私を気遣ってか、気になってか、質問してくれた倉木さんに私は答える。会話というより質問という手段は答えが決まっているので楽だった。
「少しお話ししましたが、父の知り合いの息子さんだそうで、三十二歳という若さで会社を任されているすごい人だそうです」
「俺より年上か、ってそれだけ? 名前とか、どこの会社だとか、相手の写真は見た?」
やや前のめりになって尋ねてくる倉木さんに私は、言葉を濁した。けれど、それで彼には十分に伝わったらしい。
「俺が口出す問題じゃないけどさ、そんなので本当にいいわけ? このご時世にだよ、結婚するかもしれない相手の名前も顔も知らないなんて」
「でも父が、両親が間違いない、と言うので」
言ってから少しだけ後悔した。倉木さんは、そういうのを嫌う人だったのに。おかげですぐに私は言い訳めいたものを口にする。
「うちの両親、母は弁護士で、父が議員をしてるんです。本当にすごい両親で。でも私、なにひとつ両親の期待に応えられずに生きてきました」
ぽつりぽつりと聞かれてもいないのに私は話し始めた。
子どもの頃から、習い事をたくさんさせられ、塾にも通わされた。でも、どれひとつ才能を発揮することもなく、ものになったものもない。
幼稚園、小学校、中学校と有名名門校を受験させられたけれど、どれも合格することができず、その度に見る両親の落胆した顔、失望したという眼差し。それがずっと辛かった。