エリート御曹司とお見合い恋愛!?
 結局、中学は大学までエレベーター式になっているミッション系の女子校に通うことになったけれど、両親からの圧は常だった。

 私の所属は、このビルを所有し管理もしている。B.C. Building Inc.にあたる。そこからアッパーフロアの受付に任命され、今に至るのだが、それを報告したときも、受付業という事務職ということで、両親の反応は冷めたものだった。

 受付業務は、希望者も多く花形なんて言われたりするから、選ばれたときは不安もあったが嬉しかった。両親も少しは喜んでくれるかな、なんて淡い期待もあった。

 けれども母からは、若いから選ばれたのね、と言われただけで、あまり関心をもってもらえなかった。母や父の仕事ほどではないにしろ、受付業務は、覚えることもたくさんあり、イレギュラーな対応を求められることも多い。

 基本的に立ちっぱなしなので、足も辛かったりするし、想像していたよりもずっと大変だ。でも、大事なのはそんなことではないのだ。きっと、私がどこに勤めているのかなんて、もう忘れているだろう。

 そんな折、久々に両親から連絡があり、いつぶりに聞いただろうかという母の弾んだ明るい声、それが今回のお見合いの話だった。

 自分でも馬鹿だと思うけれど、今度こそ期待に応えたい、両親が喜んでくれるかもしれない、そんなふうに思ってしまった。

 それと同時に、もしもまた上手くいかなかったら、という恐怖もあった。だから、

「もう失望されたくないんです、両親にも、相手の方にも」

 カップをぎゅっと握りしめる。交際どころか、恋愛さえも経験がない。そもそも異性とどう接していいか分からないような私が、相手の方に気に入られて、お見合いを成功させられるとも思えない。
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