エリート御曹司とお見合い恋愛!?
『さっき、シュテルン社の受付を担当した人って誰?』
いきなり慌てた様子で受付に顔を出した倉木さんに、我々はざわめいた。その社名に覚えがあり、なにかお叱りかと思いながら、私はびくびく手を上げて名乗り出る。
『あれ? 見ない顔だね』
『先月から配属となりました桜田美緒です。すみません、なにか粗相がありましたか?』
顔面蒼白で尋ね返すと、倉木さんはにこりと笑ってくれた。
『いや。彼、アメリカ人なんだけど、褒めてたよ。日本人は、どうしても頭を下げてばかりで慣れないけど、受付を担当してくれた女性は目をまっすぐに見て応対してくれたって』
なんだ、そんなことかと心底ほっとしたのを覚えている。あの頃はまだ、仕事に慣れておらず、いっぱいいっぱいだった。
手際よく堂々と受付をこなす先輩を見て自信をなくすことも多々あった。だから、お叱りならともなく、わざわざ褒めていたことを伝えてくれたのは、すごく嬉しかった。
そのことに、どれほど救われたか。そのときはまだ、倉木さんの恋愛スタイルなんて知らなかったけれど。それを今、話題にしてくれるなんて。
あんな些細なことを倉木さんが今でも覚えていたのが意外だった。
「だから、もっと自分に、仕事に自信を持ちなよ。間違っても俺は受付なんて絶対にできないし」
そう言われて受付を担当する倉木さんを想像してみる。
いきなり慌てた様子で受付に顔を出した倉木さんに、我々はざわめいた。その社名に覚えがあり、なにかお叱りかと思いながら、私はびくびく手を上げて名乗り出る。
『あれ? 見ない顔だね』
『先月から配属となりました桜田美緒です。すみません、なにか粗相がありましたか?』
顔面蒼白で尋ね返すと、倉木さんはにこりと笑ってくれた。
『いや。彼、アメリカ人なんだけど、褒めてたよ。日本人は、どうしても頭を下げてばかりで慣れないけど、受付を担当してくれた女性は目をまっすぐに見て応対してくれたって』
なんだ、そんなことかと心底ほっとしたのを覚えている。あの頃はまだ、仕事に慣れておらず、いっぱいいっぱいだった。
手際よく堂々と受付をこなす先輩を見て自信をなくすことも多々あった。だから、お叱りならともなく、わざわざ褒めていたことを伝えてくれたのは、すごく嬉しかった。
そのことに、どれほど救われたか。そのときはまだ、倉木さんの恋愛スタイルなんて知らなかったけれど。それを今、話題にしてくれるなんて。
あんな些細なことを倉木さんが今でも覚えていたのが意外だった。
「だから、もっと自分に、仕事に自信を持ちなよ。間違っても俺は受付なんて絶対にできないし」
そう言われて受付を担当する倉木さんを想像してみる。